学校長の挨拶

 

理事長・校長

 7月がはじまります。1学期最後の月です。生徒たちは下旬には夏休みに入りますが、いつもより増える自由な時間を、自分の将来につながる時間として、有効に使ってほしいと思います。

 6月には大阪で地震が起きました。自然災害はいつでもどこでも起こるものです。今回も小学生の幼い命が奪われました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞い申し上げます。地震が起きたその週末に、本校の関西地区同窓会総会が大阪で予定されていました。地震発生翌日に会長にお電話したところ、開催しますよというお返事でしたので、現地に伺い、同窓生のみなさまとお会いできました。みなさまお元気そうで何よりでした。

 7年前の3月11日、東日本大震災が発生しました。釜石東中学校の生徒は揺れの大きさからただ事ではないことを察知、揺れから身を守るための最善の対応を行い、揺れがおさまった後、地震発生直後の停電で校内放送の指示はありませんでしたが、自らの判断で校庭に集まります。先生が生徒に向かって「逃げろ」と叫ぶと、生徒たちはあらかじめ決められていた避難所をめざし走り始めます。中学校と隣接する鵜住居小学校では児童は最初校舎3階に移動していましたが、中学生が避難していく様子を見て、すぐに校外への避難を決断します。児童たちは中学生の後を追って避難所まで走り始めます。その避難所まで走りきった小中学生は点呼を取り、避難は完了したかに見えました。しかし、避難所にある建物の裏山の崖が崩れているのを見て、中学生は「ここも危険だからもっと高いところへ避難しよう」と先生に進言します。中学校の先生が、すぐにさらに高台にある介護福祉施設へ避難が可能か確認に走り、大丈夫と判断、中学生は小学生の手を引き、さらに高台まで走り出します。全員が介護福祉施設にたどり着き、後ろを振り返ると最初の避難所は跡形もなく津波にのみ込まれていたといいます。この小中学生たちの行動により、釜石市では、小中学生の99.8%が震災を生き延びることができました。これを「釜石の奇跡」と呼んでいます。
 小中学生の命を救った大きな理由として、群馬大学大学院の片田敏孝教授が7年間にわたって取り組んでこられた防災教育の存在があります。そこでは、「マニュアルに頼りすぎない」「いかなる時もベストを尽くす」「指示を待つのではなく率先者になる」ことが重要視されていました。

 子どもたちがこれからの変化の激しい社会を生き抜くために教育改革が行われています。子どもたちは予測できない想定外の問題に向き合い、時には対立するかもしれない多様な相手と粘り強く対話を重ね、最適な解答を見つけていくことが必要になるのでしょう。そういう力を育てることが今求められています。この「釜石の奇跡」を生んだ教育は、21世紀に求められる教育の模範例と言えるかもしれません。

 今回の震災からの一日も早い復興を願います。

2018年7月1日  校長 陣内恵二

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