理事長のコラム「清和の窓から」

No.19 「清和百首」かるた・・

「荒城の月」「花」の作曲で知られる滝廉太郎(1879―1903年)は、肺結核のため24歳の若さでこの世を去るが、作詞家・東くめ(1877―1969年)とのコンビで誰もが歌ったことのある多くの童謡・唱歌をのこしている。

「雪やこんこん」「鳩ぽっぽ」などもそうだが、「もういくつねると…」と歌い出す「お正月」も二人による作品である。「お正月には たこあげて こまをまわして あそびましょう」。お正月を待ちわびる子どもたちの気持ちが、やさしい詩とメロディーで表現され、なんと無邪気で歌いやすいことか。

この「お正月」は、滝が亡くなる2年前に編集した『幼稚園唱歌』(共益商社刊)の1曲として発表された。それまでの難解な文語体に比べ、やさしい話し言葉に近い口語体で書かれ、誰でも簡単に口ずさめる作品として、当時は画期的なものだった。

「お正月」より8年前に発表された、同じく新年の喜びを歌った「一月一日」(作詞・千家尊福、作曲・上真行)と比べればよく分かる。「年の始の例(ためし)とて 終わりなき世のめでたさを…」「初日のひかり差しいでて 四方(よも)に輝く今朝の空…」

明治の時代とはいえ、いかにも堅苦しい言葉が並んでいる。滝と東は、こんな難し過ぎる子どもの歌を何とかやさしいものにしようと新しい歌づくりに腐心し、見事に子どもの歌の世界を広げていったのである。

「お正月」の発表から既に100年以上。たこ揚げ、こま回し、羽つき―といった正月遊びは時代とともに変わっていったが、かるた、お手玉、たこ作りや獅子舞など昔遊びを調べてみるのも面白い。「清和百首」かるた大会は誇るべき学園の伝統なのである。

理事長 富吉賢太郎

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