学校長の挨拶

 

理事長・校長

 早いもので10月になりました。日中はまだ暑さも残りますが、確実に季節は変わりつつあります。体調管理に気をつけなければなりません。
 9月に文化祭・体育祭も無事終わり、生徒たちにはこれからは勉強に一番力を入れてほしいと思います。高校3年生は受験が佳境に入ります。最高の仕上げをして、それぞれが次の進路を決めてくれることを願います。就職にしろ進学にしろ、合格したらそれで終わりではありません。進んだ先での次の新たな学びが始まります。私たちの人生は学び続けなければならない人生です。新たなステージでも学び続けることができるように、今を大事に、学べることはすべて吸収してほしいと思います。授業はもちろんですが、部活動、学校行事、生徒会活動、関わる人とのコミュニケーションの中から、読んだ本から、学ぶ機会は無限にあります。その機会を逃すことなく、自分の学びの機会ととらえる感覚を磨くことが今必要です。

 今年6月に九州地区高等学校長・人権教育研究協議会が佐賀で開かれました。九州各県から校長先生たちが集まり、「人権教育の現状と課題」をテーマに2日間の日程で行われました。2日目に佐賀大学教育学部の松下一世教授の「これからの人権教育について~ダイバーシティとインクルージョンをめざして~」という講演を聞くことができました。
 サブタイトルにある「ダイバーシティ」とは、マイノリティが差別や人権侵害から解放され、堂々と自分らしく自由に振る舞えていい社会をめざすこと。「インクルージョン」とは、障害のあるなしにかかわらず、また他のどんな理由であれ、だれ一人排除されない社会をめざすこと、と教わりました。
 7月に、お茶の水女子大学が、「多様性を包摂する」として2020年度の学部・大学院の入学者からトランスジェンダーの学生を受け入れることを発表しました。後に続く女子大学も出ています。高校がパンツスタイルの女子制服をつくったというニュースもありました。
  時代は変化しています。多様な人たちが共存していくためにこれからの子どもたちには人権の知識と人権感覚を身に付けることがより大切になってくるでしょう。
 松下教授は講演の最後に、マーティン・ルーサー・キング牧師の言葉を紹介されました。キング牧師は人種平等と差別の終焉を呼びかけた「I have a dream」の演説が有名ですが、そのとき話されたのは「最も悲劇的なことは悪人たちの辛辣な言葉や暴力ではなく、善人たちの恐ろしいまでの沈黙と無関心である」というものです。

 本校も多様な生徒を抱えています。これまでの育った歴史や現在の生活環境は生徒の数だけあります。家族や親しい人を病気で亡くし、悲しみにくれながらも、また、心配事で胸が潰れそうになりながらも懸命に登校しているなど、心の状態も違います。これは先生たちにも言えると思います。子育てや親の介護、クラスの生徒の問題など、たくさん抱えて弱音を吐きたいけど我慢している先生もいるでしょう。
 私たちは「相手の気持ちに寄り添う」という表現をよく使います。口で言うのは簡単ですが、現実はどうでしょうか。ひどい言葉や暴力はもちろん問題外ですが、自分本位の思い込みによる沈黙や無関心はそれと何ら変わらないのです。私たちはそのことを知り、悲劇を生まないように努めなければなりません。誰もが安心して暮らせる、住みよい社会になるために。

2018年10月1日  校長 陣内恵二

 

佐賀清和学園

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