学校法人 佐賀清和学園

理事長コラム「本のある風景」

Landscape with a book

No.16 日高敏隆・著 「チョウはなぜ飛ぶか」ほか

『チョウはなぜ飛ぶか』『ネコはどうしてわがままか』『人間はどこまで動物か』。これらすべて京都大名誉教授だった故日高敏隆さんの著書。

◆不思議な行動をする動物たち。例えば、モンシロチョウの幼虫アオムシはなぜキャベツの葉っぱが大好きか。ノミはどうして寝ているのか。オタマジャクシはなぜ一斉に逃げるのか。身近な生き物たちへの疑問をやさしく解き明かしたのが日高さんである。

◆幼いころからナメクジやイモムシに至るまで生き物が大好きだった日高さんはある日、ウグイスはなぜ「ホー、ホケキョ」と鳴くのかと思った。そこでウグイスのひなを、音のしない飼育箱で育てた。しかし、どんなに成長しても「ジッ、ジッ」としか鳴かない。

◆そのウグイスに「ホー、ホケキョ」と親鳥の鳴き声を吹き込んだテープを聴かせると「ホー、ホケキョ」と鳴くようになった。日高さんは「ウグイスは鳴き声を学習するんだ」。それではウグイスに「カー、カー」とカラスの鳴き声を教えたらどうなるか。別のウグイスにカラスの鳴き声のテープを聴かせてみた。

◆ところが、まったく興味を示さず「ジッ、ジッ」と地鳴きしかしない。「こいつは学習意欲のないやつだ」と思いながらウグイスの鳴き声を聴かせた。すると「ホー、ホケキョ」と鳴けるではないか。「結局、ウグイスはウグイスになる」。これが日高さんの結論だ

◆「ウグイスはウグイスになる。カラスはカラスになる。ところが人間は違う。オオカミから育てられたら、恐ろしいケダモノにだってなるのが人間である」。人間は環境の動物と言われる所以である。自然の不思議な営みの中から人の育ちにとって環境がいかに大切かを解き明かした動物行動学の第一人者の本は実に面白い。

理事長 富吉賢太郎

2019.11.01

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