学校法人 佐賀清和学園
8月になりました。8月は「葉月(はづき)」「月見月(つきみづき)」「観月(かんげつ)」「桂月(けいげつ)」など、何だか秋の印象の異称が多いですね。それは旧暦の8月は、新暦では9月にあたるからで、雁(ガン)が飛んできて、燕(ツバメ)が去っていく・・ということで「雁来月(がんきづき)」「燕去月(えんきょづき)」というのもあるようです。
さて、今月は「人と勉強」という話をしましょう。
明治新政府は1872(明治5)年に「学制序文」という文書を出しています。そこに「なぜ、人は勉強しなければならないか!」のヒントがありました。 学制序文は「人々は自ら其身を立て其産を治め・・・身を修め知を開き才芸を長ずるによるなり」で始まり、全国に学校を設立する理由がいろいろ書かれています。計画では大学校8、中学校256、小学校5万3760校という意気込みです。
分かりやすく要約すると、人の日常すべての面で学問と関係ないところはなく、勉強してはじめて社会に貢献できる。「学問は身を立てる財本(財産と資本の意)というべきもの」と学ぶことの意義を強調し、人が身を滅ぼすのは、多く勉強していないことにその原因があると指摘。「必ず邑(ゆう=里、村の意)に不学の戸なく家に不学の人なからしめん事を期す」と締めくくり、親には子どもを必ず近くの学校に行かせなければならないと、日本のいたるところに勉強する場所、つまり学校を建てたのです。
日本は江戸時代の寺子屋もそうですが、欧米人が驚くほど、誰でも勉強できる環境に恵まれていると思います。そういった環境が、日本人の学問に対する思いを醸成し、これが日本の力になっていると言っていいでしょう。先生も親も口うるさく「勉強しなさい」と言うのは、あなたの将来のためであって、人は勉強してこそ価値があると言うことなのです。
そして、勉強というのは何でも興味関心から始まります。例えば新型コロナ禍で空港などでの検疫強化が言われていますが、「検疫」は英語で「quarantine(クワランティン)」。ある辞書に「これはイタリア語で40を意味するクアランタが語源」とありました。なぜ、イタリア語の40が「検疫」の語源になったのか⁈。調べたら、14世紀大流行した「黒死病」に理由がありました。感染防止のためベネチアで海上検疫が始まり、貿易船の乗組員全員をまず沖合の孤島に最長40日間留めてからしか本土に上陸させないという制度があったのです。なるほど、何でも調べてみると面白いですね。これも勉強です。
2020年8月1日 理事長 富吉賢太郎