清和の窓から

2025.09.05

理事長コラム「清和の窓から」118   ナイチンゲールは統計学の実践者だった

ナイチンゲールは統計学の実践者だった!

 

誰でも知っているフローレンス・ナイチンゲール(1820~1910年)。でも、私たちが知っているのは「近代看護教育の母」という一面だけかも…。

ナイチンゲールは、日夜、医療看護に従事する〝白衣の天使〟の代表的存在として今なお尊敬される偉人ですが、実はそれだけでなく歴史や語学、美術や音楽などさまざまな分野に秀でた教養高い女性だったそうです。

当時、それだけの教育を受けることができる裕福な家庭に生まれ育ったということでもあるでしょうが、彼女は決して恵まれた環境に甘えることなく努力し、信念をもって社会に貢献したのです。

ナイチンゲールが特に勉強したのが、医療看護とはすぐには結びつかないような統計学だったという。〝近代統計学の祖〟とされるアドルフ・ケトレーを信奉し猛勉強。1853年から始まったロシア帝国と、オスマン帝国・英仏連合との戦い、クリミア戦争では看護師団リーダーとして戦地に赴き、野戦病院で奮闘。現地で多くの戦死・負傷者に関するデータを分析し、戦闘より院内衛生の悪さが原因での〝戦死者〟が多いことに着目。このことを、統計を使って示し、徹底的に病院の衛生環境に心がけ、死亡率を劇的に改善させたというのです。

女性として初めて英王立統計協会の会員に選ばれたという賢明な〝クリミアの天使〟は、統計は戦略・施策の基本の基ということを知っていたのですね。

「人に学ぶ、人から学ぶ」といいますが、歴史上の偉大な人たちだけでなく、実は世の中には学ぶべき人がいっぱいいます。皆さんの近所でも、学校のすぐそばにも感心な人たちが・・。そんな人たちを知ることはとても勉強になります。つまり、興味関心のきっかけが人との出会いにあるかもしれないのです。そういう意味で、休日には外に出て、人と会う、人の話を聞くことはとても大切です。必ず何か学びがあると思います。

 

理事長 富吉賢太郎


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