清和の窓から
No.87 興味関心の先にあるもの!
「Boys, be ambitious」(少年よ、大志を抱け!)
これは誰でも知っている言葉ですね。そう、明治の時代、米マサチューセッツ農科大学から札幌農学校(現・北海道大学)にやって来たクラーク博士の言葉です。札幌での勤務を終え、帰国するとき、博士が若い学生たちに贈ったエールとして有名ですが、ただその一言だけを残して去ったのではないようです。果たして、その後、何と激励の言葉を続けたのでしょう?
人の話を聞いたり、本を読んで、何か新しいことを知る、学ぶことはとても大事な事です。でも、「そうなんだ」で終わらず、もう少し、掘り下げてみると、本題以上に面白いことを知ることがあります。興味関心の連鎖とでもいいましょうか。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
福沢諭吉の『学問のすゝめ』にある名言。これも事あるごとに引用される有名な言葉ですが、引用されるのは大体ここまで。だから、「人間みな平等である」との教えだと解釈している。間違いではありませんが、それは、福沢が何を言いたいか、論を起こす、ほんのさわりでしかないのです。
その後には、「されども今広くこの人間世界を見渡すに、賢き人あり、愚かなる人あり、貧しき者あり、貴人もあり、下人もありて、その有様、雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや」とあるのです。つまり、人はみな生まれたときは同じなのに、その後で貧富や貴賤(きせん)にこれほどの差が出てくるのはどうしてだろうか? と疑問を投げかけています。
それから、福沢は江戸時代の手習所の教科書として使用された『実語教』にある「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」という言葉を引いて、同じ人間だけども、その〝雲泥の差〟は「学ぶと学ばざるとによって出来るものなり」と論を展開。要するに、学ぶか学ばないか、他の人に差をつけたければ「学べ」とハッパをかけ、とにかく誰でも学ぶことが大切だと説いているのです。だがら〝学問のすゝめ〟。「学んで差をつけろ!」とは刺激的ですが、納得ですね。
では、クラーク博士は「Boys, be ambitious!」の後、どんな言葉を続けたのでしょう? 調べて見てください。これも勉強です。こんな時、タブレットを活用するのです。 理事長 富吉賢太郎