清和の窓から

2022.01.01

2022 新年、おめでとう!

2022年になりました。いいことも、きついことも、いろいろあった昨年ですが、誰もが気持ちを新たにして、新しい1年に臨んで欲しいと思います。

元日の朝、くみ上げた若水で手や顔を洗い清めることを「初手水(ちょうず)」と言いますが、こんな俳句を見つけました。「青竹の柄杓(ひしゃく)の香り初手水」(金澤富水)。凜(りん)とした年の初めの光景を映し出す一句だと思います。

新年の季語・季題には「初湯」「初話」「初えくぼ」など「初」がつくものがいっぱいあります。「初鏡」「初釜」「初席」。そんな暮らしの言葉だけでなく「初日」「初茜(あかね)」「初星」「初東雲(しののめ)」といった、お正月の気象言葉もいろいろです。

その中に「初凪(なぎ)」というのがありました。風のない元日の海が静かになぎわたるさま。前夜までの嵐がおさまり、目の前には驚くほどの凪の海原。いろいろあった去年から今年へ。たった一夜明けただけなのだが、「初凪」の景色はそんな時の流れと人の心模様をも感じさせます。

去年はコロナ禍で私たちの日常がいろんなことで制約され、きつい1年でした。しかし、今年こそは、その「初凪」の光景そのままに、どうか穏やかな年でありますように。そして今年も、月並みですが「いのち」をいとおしく思う。人の「いのち」だけでなく動物や植物の「いのち」、この世にあるどんな「いのち」も大切にされる世の中になればいいと願います。

芭蕉の句に「よく見ればなずな花咲く垣根かな」があります。たとえ小さかろうと大きかろうとナズナだって精いっぱい生きている。だから春になると花をつけるのだという気持ちです。そんな草の「いのち」にも心寄せる気持ちがあれば、人の「いのち」ならなおさら大切にできると思います。

かけがえのない尊い「いのち」。政治も経済も、社会も教育もすべては「いのち」を真ん中に。親と子、兄弟姉妹、友達同士。また先生と生徒、先輩と後輩…。すべて真ん中に「いのち」を置くことができればいい。これが今年の願いです。

理事長 富吉賢太郎

2022.01.01

 


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