本のある風景

2025.09.16

理事長コラム「本のある風景」63   日本人論

日本人論

 

明治の時代、日本人が書いた3冊の日本人論。『武士道』(新渡戸稲造)、『茶の本』(岡倉天心)、『代表的日本人』(内村鑑三)。

中でも『代表的日本人』(Representative Men of Japan)は、内村鑑三が日本人の原点を示すため、地位や職種の異なる5人の人物を取り上げ、これが日本人です-と分かりやすく紹介した。

西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人。1908(明治41)年に刊行された同書は諸外国で翻訳出版され、多くの人に愛読されたが、内村が詳述した5人に共通するのはモラル(moral)と徳(virtue)。これが世界の指導者たちを感動させた。

あのJ・F・ケネディが第35代米大統領就任の時、記者から「最も尊敬する日本人は?」と問われ「上杉鷹山」と答えたエピソードはよく知られるが、鷹山は米沢藩を立て直した改革者としての顔だけでなく、私欲を断ち、藩政の透明性にことのほか努力した。

さて、明治、大正、昭和、平成と時が過ぎ、令和の時代となって、日本の指導者たちはどうだろう。

鷹山は常に自身の弱さと向き合い、領民の声に耳を傾け、過ちと分かれば恥じ入って涙を流し猛省したという。偉大な指導者・鷹山の真心がそこにあるような気がしますが・・・。そして、今の時代だからこそ、こういう人たちのことを知っておくことも大切な気がしますが、どうでしょう。

 

理事長 富吉賢太郎


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