清和の窓から
理事長コラム「清和の窓から」102 自分に出来ることを考えてみる!
自分に出来ることを考えてみる!
「わが同胞、アメリカ国民よ。国家があなたに何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国家に対して何ができるかを自問してほしい」
1961年、第35代米大統領に就任したジョン・F・ケネディ(1917―1963年)の有名な就任演説の一節です。国民が国家に頼ろうとばかりしたら国家はもたない。国家の「扶助」だけでなく国民の「自助」と「互助」があってこそ健全な国づくりにつながる-という新大統領からから国民へのメッセージ、所信表明です。
若きころからケネディーは日本の歴史や政治に関心を持っていて、実はこのスピーチ、江戸後期の米沢藩藩主・上杉鷹山(1751―1822年)の考えを自分流に解釈したものらしい。大統領に就任したその日、日本人記者団から「だれか尊敬する政治家はいるか」と聞かれて、「上杉鷹山」と答えたというエピソードがそのことを裏付けています。さすがだと思いませんか。偉大な政治家は勉強家であったのです。
江戸の時代、財政危機にあった米沢藩(現在の山形県東南部)を見事立て直した名君・鷹山は、童門冬二著『小説 上杉鷹山』(集英社)などに詳しいが、自ら助ける「自助」、互いに助け合う「互助」、そして藩(行政)が手を差し伸べる「扶助(公助)」という“三助”の精神の実践家だった。
例えば、鷹山は城中でコウゾやクワの植樹をするなど自ら率先して勤勉な範を示し、藩士たちにも農業生産に加わることを命じた。また、慈悲深く、身寄りのない子どもや年寄りは五人組、十人組の中で養うようにしたという。また、大きな災害があった時には、近隣からの救援を制度化するなど、「自助」と「互助」の上に「扶助」があったからこそ藩の危機を乗り越えることができたと言われています。
この鷹山の実践と教えは、国造りとか行政の有り様はもちろんですが、私たち個人も学ばないとといけないと思います。何事もしっかり考えれば自分にできるものがある、しなければいけないものが必ずあるということです。清和で学ぶ皆さんには、常に「自分は何ができるか」を考えることが出来る人であってほしいと願っています。
理事長 富吉賢太郎