清和の窓から

2025.11.10

理事長コラム「清和の窓から」123    「脳みそは筋肉と同じ!」

「脳みそは筋肉と同じ!」

 

世界の長者番付にも名前を連ねるソフトバンクの孫正義さん。若くして「毎日経済人賞」を受賞(1995年)。その晴れがましい受賞スピーチで突然声を詰まらせたことがあるそうだ。

そのシーンを切り取って、作家の野村進さんは自著『コリアン世界の旅』で「あの時、孫正義はなぜ涙を流したのか」と問いかけ、在日三世としての言うに言えない苦悩を投げかけていた。小さいころから猛烈に勉強した孫さんは「脳みそは筋肉と同じ、ちぎれるほど鍛えろ」が持論だったという。

もうずいぶん前のことだが、孫さんのラジオインタビューが一週間続き、面白くて全部聴いた。好き嫌いは人それぞれだろうが、「この人、すごい!」と思った。

ビル・ゲイツ氏と並び称される孫さんは鳥栖市生まれ。難関の私立進学高・久留米付設に進学したが、「もっと別な勉強ができないか」とあっさり1年で中退、アメリカに。孫さんの米国留学は、勉学への思いもそうだが、何かとしがらみの多い日本からの脱出でもあったようだ。留学したカリフォルニア、そこで何を考え、何を実践したか。

孫さんは「勉強すれば必ず自分の得になる」といい、「毎日5分間の脳みそトレーニング」と称して、考えに考えたアイデアが留学1年目で200以上に。それは、既にあるものを組み合わせて新しいモノを考え出すというもので、その中の一つを某電気メーカーに売り込み、当時1億円を超すほどのパテント料を手にし、これを軍資金に情報ビジネスの世界に。そして今があるそうだ。

孫さんが、勉強の大切さを語る中で偉大な盟友ビル・ゲイツ氏のことが印象的だった。「ビル・ゲイツ、彼はいつも学校のテストは満点だったらしい。すごいね、と言ったら、彼は、試験の点数なんてアクロバットみたいなもの。そんなアクロバット的な点数はどうでもいい。テストの点数は訓練とテクニックだ。そんなものより変化に対応する力、ものごとを深く洞察できる力をどう身につけるかが大事だ。試験で何点をとったかよりも、社会対応力を身につけるために勉強するのだ」と。

ケタ違いの二人の勉強と学力論議だが、考えさせられる話である。皆さん、どう思いますか!

              理事長 富吉賢太郎

 


TOP