清和の窓から

2023.05.01

No76 112回目の創立記念日

佐賀清和学園が創立されたのは明治44(1911)年4月1日。「私立実科女学校」としてスタートして今年は創立112年になります。実は毎年4月25日を創立記念日としたのは、校名を「清和高等女学校」に改称した大正13(1924)年のことです。創立記念日はとても大事な日なので、私の思い、皆さんたちへのお願いを聞いてもらいたいと思います。

今は完全男女共学ですが、前述の通り、清和は女子教育からのスタートでした。昨今のニュースでご存じのように、アフガニスタンのタリバン政権が女性の教育を制限して深刻な問題になっていますが、明治の時代、日本でも女性は学問するにも制約(帝国大学は女性の入学を許可していなかった)があり、選挙権もなかった時代に、佐賀に女学校を作られた創立者内田清一先生の勇気と志のすごさ。この偉大な創立者の思いをしかと胸に刻み、先生も生徒も、それこそ〝オール清和〟で襟を正す日、これが毎年の創立記念日だと思います。

それと、もう一つ大事にしたいもの、それは創立者の熱い建学の精神「人間性の涵養」と教育理念「明」のことです。明るいと書いて「明」。これは、明朗、明白、明徳。また聡明、証明、開明の「明」です。すべてキリリとした気高い言葉ですが、その具現化と言っていいのか、清和には、他の学校にはない「教養」という教科があります。これは創立者の思いを一つの学びの形にした大事なものだと思うのです。

理事長室に佐賀出身の日本画画家立石春美画伯の絵が飾ってあります。前にもお話しましたが、赤いふくさに黒楽の茶碗をのせ、お茶を運んでいる和服姿の美しい女性を描いたものです。昭和の時代、日本画の世界では、あの鏑木清方、伊東深水と並ぶ美人画の名手として知られた立石画伯。そんな有名な人の絵が、どんないきさつで清和にあるのか。調べたら、その絵は、昭和35年5月、立石画伯が清和のために、清和をイメージして描いてくださったものだとわかりました。

この女性の凜とした立ち姿から、礼儀・作法をたしなんだ、つつましさと強さがにじみ出ています。恐らく立石画伯は、「人間性の涵養」と「明」のこころ、そして生活実践「和顔愛語」の言葉から、清和のあるべき姿をこの一枚の絵で表現されたのだと思います。

日本画の名手が「清和学園は永遠に不滅です」とばかりに仕上げた渾身の作品。あの絵を見ると、私はぐっと力がこみ上げてきますが、佐賀清和で学んでいる皆さんたち全員が、あの絵のたたずまいと同じような人格を形成し、社会に貢献する人になってほしいと願っています。いつも笑顔であいさつの出来る人間になってください。

112回目の創立記念日に際し、佐賀清和学園へのリスペクトをさらに深めて頑張ることを全員で誓いたいと思います。

 

理事長  富吉賢太郎


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