清和の窓から

2023.11.02

No.83  渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎

17条の憲法を制定した飛鳥時代の偉大な政治家、聖徳太子が1万円札の肖像になったのは1958(昭和33)年12月1日だそうです。1986年に製造停止になっていますから、中高生の人は見たことないでしょうね。

日本の紙幣は「日本銀行券」といわれ、国立印刷局が製造、日本銀行が発行するのですが、来年の7月には新しいお札が発行されます。そこで、今回は約20年ぶりに改刷されるお札の肖像となる偉人を紹介しましょう。

新しい1万円札の肖像は渋沢栄一です。NHK大河ドラマ「青天を衝け」(2021年放送)の主人公です。渋沢は第一国立銀行(現・みずほ銀行)をはじめ生涯におよそ500もの企業や団体の設立等に関わったとされる人物で、教育や社会事業、民間外交にも尽力しています。新札の裏には東京駅が描かれているそうです。東京駅は、日本銀行本店本館の設計者でもある佐賀出身の建築家、辰野金吾の設計であることは皆さんも知っていると思います。辰野が設計した建物が佐賀県内にもいくつか遺されていますので、調べてみましょう。

新しい5000円札は、皆さんご存じの津田塾大学の創立者、津田梅子です。津田梅子は7歳の時にアメリカ留学していますが、日本で最初の女子留学生の一人で、帰国後は近代的な女子高等教育の発展に貢献。梅子は11年に及ぶ留学生活で、帰国したときはすっかり日本語を忘れていたというエピソードがあります。津田塾大学に進学した皆さんの先輩もいますね。裏面には藤の花が描かれるそうです。藤は古事記や万葉集にも数多く登場する日本を代表する植物だと思います。

新1000円札の肖像は北里柴三郎です。北里は世界で初めて破傷風菌の純粋培養に成功した医学者です。破傷風血清療法を確立したほか、伝染病研究所(現・東京大学医学科研究所)、私立北里研究所を創立し、あの野口英世ら医学の道を目指した多くの後進の指導・育成に尽力した人です。裏面は江戸の浮世絵師葛飾北斎の代表作とされる富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」だそうです。日本だけでなく世界の芸術家にも影響を与えた北斎の名作です。

日本の貨幣製造技術は世界に誇るもので、新札にもすごい偽造防止技術を搭載。その技術は、「傾けて、分かる」「透かして、分かる」「触って、分かる」ということで、例えば、新1万円札の渋沢栄一の顔が動くそうですよ。皆さんには、まずは肖像となる3人をもっと詳しく調べて見て欲しいと思います。将来へのヒントが見つかるかも知れませんよ。

理事長 富吉賢太郎


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