清和の窓から
No. 86 年の初めに・・誇るべき伝統「清和百首かるた」
明けましておめでとうございます。
古きよき時代の正月遊びと言えば「小倉百人一首」。鎌倉時代の初め、当代随一の歌人藤原定家が古今の名歌百首を編んだもので、和歌という文学が、高貴な遊び事として昇華し、広く大衆にも親しまれてきた。
「小倉」の由来は、定家の別荘があった緑深き静かなたたずまいの京都・嵯峨野小倉山からきている。定家とは遠縁にあたり、やはり小倉山に住んでいた鎌倉幕府の御家人宇都宮蓮生(頼綱)から「別荘のふすま、びょうぶの装飾用の色紙を!」と頼まれて揮ごうしたものがもとになっているらしい。(これには別説もあるそうで、調べてみると面白いですよ。何事も興味関心です!)
定家が生きたのは戦乱の時代だったが、彼はそんな血なまぐさい戦に背を向け、ひたすら歌の道を究めた。百人一首は王朝時代を開いた天智天皇から持統天皇と続き、宮廷歌人として活躍した柿本人麻呂、山部赤人ら時代の重要な歌人・文人らの歌が網羅され、約六百年に及ぶ王朝時代をたたえる見事な詞華集となっている。
「ひーさーかーたーのォー 光りィー…」。張りのある読み手の声に耳をすませてカード合わせに興じる。「こんな雅で知的な新年の遊戯を持っていた国は、日本以外にはないだろう」と以前、作家の塩田丸男さんが、ある雑誌で、かるたの復活を訴えていたが、わが佐賀清和学園には誇るべき伝統の「清和百首」がある。100枚のかるたが納められた箱を開くと、「『清和百首かるた』は万葉から現代に到るまでの名歌を集めてあり、「具体的なこの教材を通して和歌(短歌)に親しむ意図のもとに編んだもの」とある。
さすが清和!。誰がこんな見事な〝教材〟と〝教育〟を考えられたのか、頭の下がる思いです。今年も新年恒例の「清和百首カルタ大会」が予定されていますが、この誇るべき清和の伝統をかみしめて、2024年のスタートしよう!
理事長 富吉賢太郎