新聞社時代、数え切れないほどの人たちとのご縁を頂いた。その一人、みやき町の秋吉五郎さん。秋吉さんは自分の事を「老眼・乱視・白内障初期。１年前に脳こうそくで在宅リハビリ　９９歳の老男子」といつもユーモアあふれている。

その秋吉さんから、明治時代に書かれた内村鑑三著『代表的日本人』を紹介した私のコラムの一部英語表記について意見をいただいたことがある。

秋吉さんは「英語は１語１語で読み取るから、本来横書きの英語をアルファベット１文字１文字の縦書きでは分かりづらい」。つまり、英語表記のローマ字ａｂｃは縦書きの新聞でも横書きａｂｃにする方が読者には親切では－という意見だった。

１９３３（昭和８）年、旧制中学に入学した時、初めて英語に触れ、４９歳から英会話を始めた秋吉さん。実は２０年ほど前、ジャパンタイムズ主催の「第３４回英語暗唱コンテスト」（文科省など後援）で４１５人が参加した大学・一般の部で全国１位になった実力の持ち主なのだ。

「９９歳で毎日、新聞を読んでおられるのに驚いています」と言ったら「えっ、どうして？　新聞は読むものでしょう。当たり前のことです」と返されて、恐縮した。こんな前向きな人に会うとうれしくなりませんか。まさに「人間一生勉強」。皆さん、勉強してますか！　何でもいいのです。教材は！

理事長　富吉賢太郎

2019.11.01