清和の窓から

2020.11.17

No.35  学校と家庭 先生と保護者

お茶の水女子大の森隆夫氏は教授時代の一時期、お茶の水女子大付属小学校の校長を務めた。そのころの面白いエピソードを聞いたことがある。もうお亡くなりになったが、伊万里市での懇親会でのことだった。

熱かんを注文した森さんはすこぶるご機嫌だった。弾む話の中で、かの作家三島由紀夫の話題に。三島の妻は著名な日本画家杉山寧の長女で、その三島夫妻の子どもが付属小学校に通っていたそうだ。三島夫妻は子どもの教育にことのほか熱心で何かと学校に注文がついた。

あの三島夫妻からの“クレーム”。想像しただけですくんでしまいそうである。先生たちもさぞや大変だったろうと思い、「三島由紀夫はモンスターペアレンツの元祖!」と冗談を飛ばしたら、森さんは「いやいや、それが実にまっとうで、学校への要望こうあるべし-というような苦情だった」と。

「子どもの教育にとって何が大切か」という、この一点でぶれることのなかった三島夫妻の苦情。そんな切れ味鋭いクレームであれば学校も全力で対処するしかない。見方を変えれば、有り難い協力者と言ってもいい。そんな学校と家庭、先生と保護者の信頼関係を築いていけるよう、さらに努力しましょう。

理事長 富吉賢太郎

2020.11.17

 


TOP