清和の窓から
No.38 「しいのみ学園」と昇地三郎さんのこと
今日は、私の高校時代の話を・・・。もう50年以上の前の思い出です。
福岡市南区、西鉄大牟田線・井尻駅のすぐ近く、「しいのみ学園」があります。1954年、当時、福岡教育大教授だった昇地三郎さん(故人)が脳性小児まひの2人の息子のために私財を投じて開園した日本で初めて養護学校として創設された知的障害児施設です。
私は高校2年の時、確かに昇地さんの話を聞いたことがあります。高校の広い体育館であった講演会。小柄な昇地さんの語りかけるような口調。おぼろげだが、困難に立ち向かう人間の強さや人を思いやることの大切さをしっかり教えられた記憶があります。
「小さきは小さきままに 折れたるは折れたるままに コスモスの花咲く」。これは昇地さんの言葉です。それぞれが、その姿でしっかり咲いているコスモス。人間も同じ。誰でも、それぞれが自分らしさを大事にして生きていってほしい-ことを教えている。
この「しいのみ学園」の話が宇野重吉主演で映画化され、感動を呼んだのは1955年。「しいのみ学園」は全国に知られることとなりますが、昇地さんのお話は「きっと高校生たちのためになる」という確信をもって、学校は講師を昇地さんに依頼したのでしょう。確かに私は、あの話がずっと心に残っているし、地道に社会貢献を実践する人の姿には、今でも頭を下げずにはおられない気持ちです。
若いときの得難い体験は、その後の生き方にも少なからず影響するものです。清和は今年、創立110周年。4月の創立記念日には、特定非営利活動法人ジャパンハートの吉岡秀人代表を招いて記念講演を計画しております。「医療の届かないところに医療を届ける」という崇高な理念を掲げて、国や地域、人種、政治、宗教、境遇を問わず、すべての人が平等に医療を受けることを目指して活動されている人です。
超多忙な中で、皆さんのために体験談を語ってくれる。恐らく吉岡さんの話は、若い皆さんの生涯の宝物になることを確信しています。コロナが気になりますが、楽しみにしていてください。
理事長 富吉賢太郎
2021.02.18