清和の窓から
2020.03.27
No.24 小笠原諸島と環境問題
エジンバラ大学で医学を学んでいたダーウィンは麻酔なしの外科手術が嫌でケンブリッジに転校、ここで地質、動物学に関心を持つ。教授の推薦でイギリス海軍の測量船「ビーグル号」に乗り組み、無給の調査員として、あの「進化論」のヒントになったガラパゴス諸島に降り立った。
「生命の研究所」とも言われるガラパゴスは、南米エクアドルから約1000キロ隔てた太平洋上に点在する赤道直下の火山島群。ここに生息する動物たちは捕食者としての人間を知らないため、今日でも人を恐れることはないという。そのままの自然のすごさである。
“東洋のガラパゴス”といわれるのが小笠原諸島。小笠原村と東京都は協定で諸島の中の「南島」と「母島」への立ち入りを制限している。自然保護と観光の両立を目指してのやむを得ないルールだ。
世界でも珍しいラピエと呼ばれる溶食石灰岩がある「南島」。手つかずの原生林が残る「母島石門地区」。気楽に心ウキウキやって来て、村人が宝石箱のように大切にしているものを踏み荒らされては困るので、1日百人に入島を制限しているが、それでも村人に「もっと制限しなくては」と思わせるような観光客の無神経な行動も散見されるそうだ。
「ボクたち人間は、ひょっとしたら地球人じゃないかもしれない。どこか知らない宇宙から地球を壊しにやって来たインベーダー(侵略者)なんだ」。これは以前、ある雑誌に紹介されていた小学3年生の作文だが、この8歳の男の子から侮蔑の視線を浴びせられるような大人、中高生になってはいけない。
理事長 富吉賢太郎
2020.03.27