清和の窓から
2021.10.01
No.47 自分の言葉で、やさしく平易に!
人前で話したり、ものを書いたりするのは誰でも苦痛である。中には「大好き」という人がいるかもしれないが、机の引き出しから「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深い内容を面白く」というメモが出てきた。劇作家・井上ひさしさんの言葉らしいが、メモには「難しい事を難しく話す(書く)のは普通」「やさしい事をわざわざ難しく表現するのは愚か」「本当の利口は難しいことをやさしく話す(書く)」とあった。
このことを自ら実践し、周囲にも説いていた人物が慶應義塾の創設者、福澤諭吉(1834-1901年)のようだ。幕末から明治期に活躍した思想家で教育者で、傑出した雄弁家でもあった。
福澤の教えはこうだ。
「あらゆる社会問題に関心を持って、自分なりの解決法を考え出せ。考えがまとまったら、それを紙に書いてみろ」「しかし、書く文章は、きのう地方から出てきたお手伝いさんが理解できるものでなくてはいかん。お手伝いさんに読ませて〝分かりました〟と言われたら、今度はそれを暗記しろ」「暗記したら街に出て演説しろ。そうしたら人が耳を傾けてくれる」
とにかく自分が理解できている範囲の言葉でやさしく、平易に。これが「話すこと」と「書くこと」の基礎基本のようです。作文や論文を書くとき、教室での発表、プレゼンや面接の時の参考にもなりますね。いかがでしょう!
理事長 富吉賢太郎
2021.10.01