本のある風景

2020.03.27

No.24 斎藤隆・著「まねる力」

「人のまねはするな!」「物事は自分で考えろ!」。先生や親、友達、先輩から、誰でも一度は言われたことがあるはずである。

ところが、本書は〝人まね〟の奨励である。「上手なまねは9割のアイデアを超える」とまで、とにかく「人のまねをしよう!」 「模倣こそが想像である」と呼びかけている。

頭がこんがらがってきそうだが、どちらの教えも時と場合において、実に大切なことであることを頭の片隅に入れて読んでもらいたい。

著者の斉藤先生は、現代社会を生き抜くには、かつてないほど発想力や問題解決能力が求められているが、この難関を突破するための最高のスキルが「まねる力」だという。ただし、漫然とした「人まね」ではなく、「できる人のやり方をまねて、それを自分流にアレンジすること」で、新しい自分だけのものを生み出し、つかむことが大切と教えている。

「良いことはまねよう!」。これは恥ずかしいことではない。勉強の方法、部活練習法、成績のいい友達の予習・復習のやり方、素晴らしい技術の持ち主の基礎トレーニングの仕方など、まねる教材は皆さんの回りにいっぱいある。それらを、まねてみよう。

斉藤先生は「伝統とは、まねる力の結晶だ!」と言う。109年に及ぶ清和学園の伝統も3年生を2年生がまね、2年生を1年生がまねることでつながって行くのです。まねるのをサボれば、伝統が終わりになる。「3人のまねたい人」を探して、まねて、いつしか自分のものにして、今度は自分が人からまねられる存在になろう。

本書には、なるほどと思うヒントが満載されています。

理事長 富吉賢太郎

2020.03.27

 


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