清和の窓から
No.56 人間だけが赤面できる!
アメリカ独立宣言起草委員も務めたベンジャミン・フランクリンは「怒りと愚行は相並んで歩み、悔恨が両者のかかとを踏む」という言葉を残している。怒りにかられた人は必ず愚かな行動をしてしまい、後でその怒りと愚行に対する後悔に苦しむことになるという意味であろう。
少し前の話で恐縮だが、列車マナーの悪さを注意され、謝るどころか、注意したその人を反対にどう喝、にらみ返した高校生。卒業の季節になると思い出す。彼は今ごろどうしているだろう。自らの愚行と怒りを後悔しただろうか。
自分の非を注意され、謝るどころか怒り収まらず、捨てぜりふを浴びせて、にらみつける。その光景は、あまりにも殺伐として、「清和の生徒でなくて良かった」と、つい思った自分も情けないが、彼をこのようにさせてしまったのは、いったい何だろう。
いろいろあるだろうが、高校生になるまでいろんなことを見逃されてきたに違いない。だから心が育たず、破けてしまったのかもしれない。でも、心は破けたままではない。悔恨があるなら、いつでも繕うことができることに気づいてほしい。
「人間だけが赤面できる動物である」という言葉があるそうだ。もし彼が自分の愚行に気がついて、後悔で人知れず顔を赤くしたことがあったなら大丈夫だと思うのである。かかとを踏まれ前に歩けなくなっているなら、天に向かってでも謝ればいい。誰だって一時の感情を抑えきれず愚かなことをしでかす。肝心なのはその後の行動だと思うから。
もし、どうしても謝る勇気がなかったら何か選んで一冊の本を読むといい。苦痛だろうがじっくり読みきると心のもやもやも晴れるはず。「心の破産を防ぐ道は読書に限る」(武藤山治)という言葉を見つけたから、そっと教えます。 卒業の季節から新しい旅立ちの季節へ・・。さあ、頑張ろう!
理事長 富吉賢太郎
2022.03.04